平成24年度の活動

  • 平成24年度は前年から引き続き、フィリピン共和国ケソン州ナカル地域において、生活向上支援、環境保全を主目的として事業を実施しました。 ナカルでの農園開発事業は平成24年4月で5年目に入り、JICA草の根型支援との協同事業も3年計画の最終年で、9月下旬、JICAフィリピン事務所、ナカル農民組合、観照ボランティア協会の三者立ち会いのもとに譲渡手続きを行い、農園の運営は新しい農民組合(INNGEN)に委ねられました。JICA草の根型支援との協同事業の詳細は、ホームページ「活動報告」に掲載していますのでご覧ください。
  • 自立に向けた生活向上支援事業
  • 農園開設・運営事業(フィリピン、ケソン州ナカル)
  • 平成24年6月、熱帯農業の専門家で、フィリピンの農業事情に精通している合原裕人氏と協会プロジェクトマネジャーが農園入りをして、ナカル農民組合員に技術指導を行った。主な指導内容は次の通りである。

  • 灌漑施設の補強
    農園下部に造った貯水池だけでは農耕地への給水が不十分なので、農耕地に則して補助の溜め池を造り、そこに雨水を貯めるための水路を築く灌漑工事計画を立てた。その計画に従い、7月中旬、農民組合メンバーにより工事が実施され、溜め池への貯水ができるようになった。

  • 野菜類の栽培と農園の手入れ
    新たに耕作地の耕運を行い、肥料・堆肥を作り施肥をして、トウモロコシ、オクラ、菜類、ショウガなどの作付けをした。 果樹園では傾斜地上部からの雨水による腐葉土流出を防ぐため、果樹植栽ラインに沿ってパイナップルを利用した防止柵を造った。 そして、新しくグアバ10数本程度を追加植栽して経過を見ることとした。
野菜の栽培 農園全景
  • 農園周辺の植林
    農園をアグロフォレスト型にするためこれまで農園周辺の植樹を進めてきたが、今回は農園入り口部分の植林を実施した。 植林樹種はニームでおよそ70本を近隣小学校(SPA)児童の手を借りて有意義に実施された。 日本人専門家合原氏により、小学生及びナカル農民に環境保全セミナーを行い、その後、小学校教師の協力も得て、植林を行った。 また、合原氏より希望者に果樹苗木が贈られた。
防止柵 防止柵の設置 農園傾斜地 グアバの植栽
参加者による植樹 ニーム苗木 日本人専門家によるセミナー
  • 植林及び環境保全事業
  • フィリピン共和国ケソン州ナカルで植林及び環境保全事業を実施。農園開設地周辺および災害荒廃地にピリ、ナラの苗木を植林する事業は、本年で4年目となる。
    6月中旬、農園周辺の植林地を整備し、3日かけてピリ、ナラの苗木を植林しました。 9月には農園周囲にニームを植林する予定でいたが、苗木を入手できずニームは来年度に実施することにした。
  • 11月には潅木の伐採、蔓払いなどの作業を行った。この作業にはボランティアとして南ルソン大学農学部学生8人が参加した。 また、大学生より寄贈されたニームと近隣の小学校生徒からプレゼントされたナラ24本の苗木を農園周囲に植林した。
    11月には育苗場建設のための準備を行い、潅木を伐採して建設予定地の整地化を実施した。
  • 平成23年度は5年目も引き続き植林の予定で、育苗場を建設してニームの苗木を育てるほか下草刈りなど、植林地の手入れも実施する。また、ワークショップを開催してニーム樹種についての普及啓発を行い、農園周辺にニームを植林する計画である。
参加した小学生 小学生を対象に環境教育 環境教育セミナーに参加した小学生と農民
  • 植林及び環境保全教育事業
  • ニーム、果樹苗木の植樹(フィリピ共和国ケソン州ナカル)
  • 協会では平成19年度以来、ナカルの崩壊山林地への植林事業を実施してきて、これまでに多くの植樹を行った。しかし、山村にはいまだに多くの崩壊地が残っている上、樹木の減少、裸地の拡大が目立つ。このまま放置すれば、また大規模な山地崩落が起こり大災害になりかねないことから、常日頃からの植林及び自然環境保全についての啓発活動が求められている。そこで協会では、ナカル山地児童及び地域居住者を主な対象として、過伐や森林未整備などによる環境破壊の防止教育を行うこととした。
  • 24度はナカル地区カタブリンガン村、Sentrong Paralon ng Agta(SPA)小学校の生徒を対象に、環境セミナーと植林ワークショップを開催し、環境保全意識の向上、技術移転を図るものである。
  • この植林実習で地域の児童が苗木の植栽方法を習得することによって、継続的に植林をして学校林を造成して環境整備を行うとともに、将来、有用樹種から収穫して奨学金として役立てることができるようにと考えている。
  • 25年2月、日本人専門家、合原氏と協会スタッフ2名がナカルのSPA小学校を訪問した。まず、24年9月に農園で実施した環境保全セミナーのフォローアップを行い、合原氏が寄贈した果樹苗木の生育状況、育成にあたって質問を受けるなど細かな説明を行った。その後に、SPA校長、教師と6月の植林セミナー、ワークショップの打合わせを行った。
校長、教師と打合せ 低学年向けの教室前 高学年向けの教室に集合 合原氏によるフォローアップ
タオルとキャンディーを寄贈 タオルを受け取る生徒 給食をつくる生徒。給食を出すようになって生徒が2倍にふえた
  • 環境教育セミナーとワークショップは次のように実施することになった。
  • 環境教育セミナーの開催
  • SPAの生徒、教師を対象に日本人専門家の指導のもと、環境教室を開催し、森林・生態系の保全と植林の意義や植林の具体的技術などを図や写真で児童にも理解できるよう、やさしく解説する。

  • 植林ワークショップの開催
  • 教育セミナー終了後、学校に隣接する裸地、計0.3ha程度に、ニーム、カラマンシー樹種の苗木を計50本程度植栽する。植栽した苗木の育成は、協会スタッフや専門家が定期的に指導を行い、果実によって学校の補修、修繕のほか、児童の奨学金に活用していくことを目指す。
  • マングローブの植林計画(インドネシア共和国東ジャワ州ムンガレ村)
  • 過去、平成8年10月、現地NGO AKINの要請により、ムンガレ村において、養魚池乱造によって破壊されたマングローブ林の調査を実施し、報告書にまとめた。その調査をもとにしてプロジェクトを立ち上げ、環境保全に力を注いでいる団体に支援を要請した。本年度秋には、実施する予定で、現在、計画を進めている。
  • 教育支援事業(フィリピ共和国ケソン州ナカル)
  • ナカル地域を先導するリーダー養成を目的に、福岡の有機栽培オピニオンリーダーである古野隆雄氏農場での研修を計画し、平成25年3月の実行に向けて24年9月に3名を選抜した。事業の実施にあたっては、財団法人地球市民財団より支援を受けたが、ネットを利用してより多くの支援を呼びかける試みを行った。
    最終準備・調整のため、25年2月に現地入りし、協議を行った結果、人選した2名が就職のため参加が難しくなったこと、またナカル農民より研修者を増やしてほしいとの要請を受け、3名から12〜15名を対象にフィリピン国内での農業技術研修に計画を変更することとした。研修は25年6月にルソン島中部バターン州パンパンガでの農業技術先駆的地域で実施することになった。
研修出発前に揃いのTシャツで記念撮影